店舗の活動

Vol.64 ブランドを強くする「接客の個性」と「顧客の声」

ブランドを強くする「接客の個性と「顧客の声」」

高付加価値ブランドに学ぶ、ファンづくりの最新事例

今回は、ファンづくり、LTV向上に関わる最新事例をピックアップしながら、解説していきます。

事例1.LVMHの顧客(接客)体験向上の実際

VMHでは「顧客体験の核は人間で、AIが登場しても変えるべきものではない」と
考えている。ティファニー銀座でストア・ヴァイス・プレジデントを務める
中川留理子さん曰く「店舗における顧客体験は、お客さまの感動の
レベルが高まること、感情がアップするのかが土台だと考えている」。
丁寧さを追求するあまり、顧客に感動を与えられていない接客事例がある。
人と人とのコミュニケーションにおいて、丁寧さだけではなく、スタッフが
「自分を出す」ことも重要になる。「自分を出すこと」に不安を抱える
若いスタッフが多いが、実際スタッフが個性を発揮した結果、クレームが
入ることはほとんどなく、むしろ感謝の言葉をいただくケースがほとんどと
いう現実がある。
(出典:日経クロストレンド:2026年3月25日、齋藤編集)

Keyword:自分を自然に出せる、実践ポイント

接客で「自分を出す」って難しいんですよね。目の前に相手がいるからです。
YouTubeやSNSと比べるとわかりやすいと思います。

YouTubeやSNSは、投稿時は一方的ですし、コメントの
やりとりも時間差があるコミュニケーションなので、
自分を出す準備ができます。

一方で、接客は同時コミュニケーション(電話もそうですね)
なので、常に双方向になります。一方的に自分を出すと独りよがりに
なってしまいます。

接客で「自分を出す」には、自分の感情と相手(お客様)の感情を
共にすることで、「自然と自分が出てしまう」ことをイメージしながら
取り組んでいくことがポイントになります。

自分の感情と相手(お客様)の感情を共にする接客とは、「共感接客」
「共震接客」「共有接客」です。

※共感接客…お客様が考えていること・気持ち(願い・不安)を
 ココロの深いところで、感じる接客。

※共震接客…身近な専門家としての「考え方・捉え方」、「想像できた
 お客様の未来」をココロを震わせて伝える接客。

※共有接客…お客様が本当に望んでいることを、スタッフのお手伝いで、
 お客様が手に入れて、ココロから喜び合う接客。

接客の中で「自分を出す」ために、自分の感情と相手(お客様)の感情を
共感接客・共震接客・共有接客を進めることで共にして、「自然と自分が
出てしまう」状況を作っていきましょう。

事例2.LTV重視、個客の声を聞くベントレー

6年連続で黒字を達成するなど好調なベントレー。車両1台あたり
の収益は直近数年で約10%増加し、継続的な黒字化を支えている。

ベントレーモーターズジャパン ブランドダイレクターの遠藤さんは
毎年、既存オーナーや見込み顧客、インフルエンサーら約170人に
1対1でお話を聞くインタビュー(30分〜1時間)を行っている。

インタビューでは、どういう瞬間にお客さま自身、自らの心が動いたのかを
深掘りしている。インタビュー内容の分析方法も特徴的で、インタビュー
で得た内容を類型化するのではなく、インタビュー内容を
全文文字に起こし、各コメントはどういう意図で話されたのか、
ベントレーというブランドがその顧客にはどう理解されているのかを
ディスカッションして、様々な施策に生かしている。

ディスカッションには、マーケティング、アフターサービス、メカニック
担当など、多様な職種のメンバーも加わり、10人ほどで行っている。

(出典:日経クロストレンド:2026年2月27日、齋藤編集)

Keyword:定性情報の深掘り

まず遠藤さんがしているインタビューの人数に驚きました。年間170人って…。

年間の稼働日数は約250日ですから、1日1名だったら稼働日の7割、
インタビューをしていることになります。

そして外資系企業は効率化を第一に考えることが多いので、インタビューで
得た内容をAIで読み込ませて要点を把握しているのかなと思ったら、
インタビュー内容を全文文字に起こし、インサイトを探っていく…という、
それも10名で!

実は、今回の事例を読んだ瞬間、「“のんき”だな…」って思って
しまったんですよね(笑)。1年で170人のインタビューをする時間が
あるんだと…それを10名でディスカッションする時間があるんだと…。

ただ、少し時間が経ってから、あらためて事例を読み返してみると、
「これ…、顧客体験の向上を目指す本部スタッフが、お客様の声に
耳を傾けようと思った時の原点みたいな事例だなあ」と思えてきました。

通常、顧客の声を聞く場合、「インタビューという定“性”情報」というよりは、
「アンケートなどの定“量”情報」に頼ってしまうことが多いです。

定性情報・定量情報、どちらも大事ですが、高付加価値を大事に
したい商品・ブランドは、「定性情報5:定量情報5」ぐらいが
ベストなのでしょうね。意識しないと「定性情報1~2:定量情報8~9」
になってしまいがちです。

そして、定性情報を土台に、部署を越えて議論して、各部署の人が
各部署の施策それぞれに反映するという緩さが大事だと思いました。

ここをガチガチに部署間を横断したプロジェクトにしてしまうと、
仕事が増えて、堅苦しくなってしまうんですよね…。

(このあたりはベントレーがどうしているか、今回の記事からは
わかりませんが)大事ですね。

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