
昨年注目したキーワードは「LTV」でしたが、今年、私が着目しているのは「幸福」です。今回は「お客様の幸福」をキーにした、これからのファンづくりについてお話しします。
ファンに届けているのは「幸福感」
最初に、皆さんに1つ質問させてください。
「皆さんの企業、特に顧客との接点(現場)で、そもそも今いるファンにどんなことを届けていますか?」
顧客との接点(現場)では、おもてなしを届けている、お客様のお話を聞いている、お客様に合った商品を提案していますが、そもそも…というと、少し違う感じがしませんか。
もっと“根っこ”の何かを届けていないと、お客様はファンになっていないですよね。
ヒアリング、提案、フォローなど、どんな活動をしているのか、
というよりは、活動を届けた相手であるお客様の気持ち・感情にスポットを当てると見えてきます。
皆さんの企業、特に顧客との接点(現場)で、今いるファンに届けているのは「幸福感」だと考えています。
- お客様は「おもてなしを受けて、自分が大切にされている」と思うと、幸福を感じます。
- お客様は「話を聞いてくれて、自分を理解しようと努力してくれている」と思うと、幸福を感じます。
- お客様は「自分の〇〇生活が充実するようにと願って、良い商品を提案してくれている」と
分かると、幸福を感じます。
現場の活動を、商品を販売するために行っている、と捉えることも
できますが、ファンから見ると、そうではありません。
もしお客様から見て、現場の活動が商品を販売するためのものだったら、
一度は買うかもしれませんが、継続的に通い続けてくれる、買い続けてくれる
ファンにはならないからです。
お客様に届けている「幸福感」を3つに分けてみる
ここで、「ファンが心に抱いている幸福感=現場で届けている幸福感」の
解像度を上げます。「ファンはどんな幸福を感じているのか」「現場はどんな
幸福感を届けているのか」を確かめてみます。
解像度が上がると、「普通のお客様」を「ファン」にできる勘所が見えてきます。
それがわかると、ファンづくりの現場活動の伸びしろも見えるからです。
今回のメルマガでは、「ファンが心に抱いている幸福感=現場で届けている
幸福感」を「お客様との時間」を切り口に考えていきます。
「生涯顧客」という言葉がよく語られています。
生涯とは「生まれてからこの世を去るまで」ですが、販売の世界で生涯とは
「お客様になってから離脱するまでの期間」で、「その間をできるだけ長くして、
たくさんの商品を買ってもらおう」という考えであることは、皆さんご存じの
とおりです。この考え方は「お客様との時間」がキーになっています。
それを幸福感という観点から深めてみます。
「お客様との時間」をキーに、「お客様の幸福感」を分けてみると、
「❶時間が短い(Short)幸せ」「❷時間が少し長い(Middle)幸せ」
「❸時間が永い(Long)幸せ」に分けることができます。
ここからは、3つのそれぞれの幸せを増やす実践ポイントをお届けします。
❶1つ目の幸せ「時間軸が短い(Short:分単位)の“幸せ”」
1つ目の幸せは、お客様が「今、お客様として大切にしてくれている
なあ」と感じる幸せです。
初来店~2回来店のお客様が、多くのお客様の中の一人として大切に
されている幸せです。この幸せはスタッフとお客様という一線がある中で
届けている幸せで、多くのスタッフの皆さんが「今、できているなあ」と
考えている活動です。実際、できていることが多いので、スタッフの皆さんが
自己採点で90点~100点を付ける活動です。
以下のような活動から、お客様は幸せを感じています。
「お出迎えで優しいアイコンタクトなどで歓迎されていると感じた♪」
「私が持っていた荷物が重そうだったからか、荷物を預かってくれて
気遣いを感じた♫」
「丁寧なヒアリングから商品の提案があって、商品を使っている自分が
想像できて幸せな気分になった!」
「希望の商品の在庫がなかった時に、その理由を丁寧に説明してくれて、
他店在庫など手を尽くして一生懸命さを感じた。」
「お見送り時に一緒に外に出て、丁寧なお辞儀に一言添えてくれて、
今日の出会いを大切にしてくれたんだと感じた♪」
1つ目の活動、お客様の幸せ量アップのポイント
一つひとつの活動でお客様がその瞬間に幸せな気分になっているかが
ポイントです。1つ目の幸せは「時間軸が短い(Short:分単位)の“幸せ”」
だからです。
ブランド・店舗で決まっている活動が多いと思いますが、そもそも一つひとつ
の活動は、お客様に心地よさ・幸せを感じてもらうために行っています。
例えば、お出迎えの活動は「来店の気づき」「いらっしゃいませ」「お辞儀」
「来店目的の確認」など、いろいろとありますが、お客様が歓迎されているなあと
幸せを感じることがポイントになります。
活動が自分なりにできていたとしても、お客様が心地よさ・幸せを感じることに
つながっているか、常に確かめることで、活動の完成度を上げることができます。
❷2つ目の幸せ「時間軸が少し長い(Middle:月単位)の“幸せ”」
2つ目の幸せは、お客様が「購入後も私のコトを考えてくれているんだ
なあ」と感じる幸せです。概ね3回以上来店していて、すでに商品を
いくつか購入してくれたお客様が、スタッフから自分が私という一人の人と
して認識されて活動を届けてくれることで、感じている幸せです。
多くのスタッフの皆さんが「大方できているけど、できていない時もあるかな」
と考えている活動です。スタッフの皆さんが自己採点で75点~90点を
付ける活動です。
1つ目の活動と違う点は、お客様の連絡先(メール・LINE・住所など)が
分かっていることが多い点と、接客するために再来店いただく必要がある
ことです。「再来店への促しアプローチ」と「再来店してくれた時の接客」に
分けて紹介します。
企業・ブランド・現場が「時間軸が少し長い(Middle:月単位)の“幸せ”」を
どのくらい届けることができているのか、以下の質問を投げかけさせて
ください。質問に答える中で見えてきます。
再来店への促しアプローチ(メール・LINE・DM・レターなど)
Q.購入直後、お客様への気持ちを、購入時のエピソードを添えるなどして、
丁寧に伝えていますか?
Q.購入から少し経った後(1か月後など)、お客様が思ったように購入商品を
使えているのか気になって連絡していますか?
Q.お客様と相性が良いイベントに来てもらえるように、そのお客様ならではの
コメント付きで、連絡していますか?
→購入直後・購入から少し経った後に、現場の皆さんから自分を認識
してくれて連絡が来ると、お客様は嬉しくなり、幸せを感じます。
再来店時の接客
Q.魅力的なモノ(=前回購入してくれたモノ)を手に入れた幸せをあらためて
お客様と喜び合っていますか?
Q.商品の使用状況をお客様に聞いて、購入商品を使いこなすヒントを
届けていますか?
Q.他の定番商品・新商品との組み合わせで、新しい可能性を感じてもらって
いますか?
→再び来店した時に、自分を認識してくれて会話を交わすことができると、
お客様は幸せを感じます。その場面が好きなブランドショップにいる時に
感じられれば、なおさら幸せを感じます。
⇒2つ目の活動、お客様の幸せ量アップのポイント
お客様がスタッフの皆さんと関わりが深くなっていく過程を幸せと感じているか
がポイントです。スタッフの皆さんが届けているのが、2つ目の幸せ「時間軸が
少し長い(Middle:月単位)の“幸せ”」だからです。
お客様との距離を徐々に近づけることが大事です。一定の距離を維持すると
いうよりは、その時々のタイミングでの距離を測りながら、近づいていくには
難しいですが、活動を進めていきます。
❸3つ目の幸せ「時間軸が永い(Long:年単位)の“幸せ”」
3つ目の幸せは、お客様が「ずっと、私のコト、私の周りのコトまで想ってくれて
いるんだなあ」と感じる幸せです。1年を超えるお付き合いでファンと言える
お客様が、スタッフというより、人として関わりが深い中で感じる幸せです。
多くのスタッフの皆さんが「1年を超える購入履歴があるお客様の中で、
その幸せを感じているお客様と、感じていないお客様がいる」と考えています。
スタッフの皆さんが自己採点で60点~75点を付ける活動です。
ここも「再来店への促しアプローチ」と「再来店してくれた時の接客」に分けて、
以下の質問を投げかけさせてください。企業・ブランド・現場が「時間軸が永い
(Long:年単位)の“幸せ”」をどのくらい届けることができているのか、質問に
答える中で見えてきます。
再来店への促しアプローチ(メール・LINE・DM・レターなど)
Q.定期的(1~3か月に1回、季節のご挨拶など)に、お客様に想いを馳せて、
思い浮かんだことを伝えていますか?
Q.新商品が出るタイミングで、お客様と商品の紐づけを考えて、そのお客様
の〇〇ライフ(ex. ファッション・ブランド)の充実を願って連絡をしていますか?
→お客様は自分のことをスタッフの皆さんがいつも想ってくれていることが
メッセージ内容から感じると幸せを感じます。
継続来店時の接客
Q.お客様の〇〇ライフ(ex. ファッション・ブランド)が充実していくことを確かめ合って、
人生の豊かさを共有していますか?
Q.お客様がブランドと人生を共にする幸せを感じてもらえるように、導いていますか?
Q.お客様が友人から購入商品を褒められたなど、周りからの反応による幸せを
聞いて、喜びを共にしていますか?
Q.世代を超えて親子でそのブランドが好きという幸せ(次の世代とつながる)を
お客様に感じてもらう機会はありますか?
→定期的にお客様が来店してくれた時に、友人同士のような会話を交わすことが
できると、お客様は幸せを感じます。会話の相手が好きなブランドの販売員さんで
あれば、なおさら幸せを感じます。
3つ目の活動、お客様の幸せ量アップのポイント
人との永いつながりを確かめ合う活動ができているかがポイントです。
スタッフの皆さんが届けているのが、3つ目の幸せ「時間軸が永い(Long:年単位)の
“幸せ”」だからです。今できている親愛なる関わりをこれからもずっと維持していける
ように活動を進めていきます。1年を超える購入履歴があるお客様の中で、そこまでの
関わりができていないお客様には、そのような関わりに近づく活動を行います。
まとめ
「今、どんな幸福をお客様・ファンに届けることができているのか」と
自社・自社の現場ができていることを再確認いただいたり、
「今よりもっと幸せを届けられるのでは…」と自社の新しい可能性を
感じていただければと思います。
それが「幸福を切り口にした、これからの現場のファンづくりの伸び代」です。
2026年「幸福」をキーに「ファンづくり」を進めていきましょう!
