店舗の活動

Vol.44 そもそも接客は必要か?

そもそも接客は必要か?

大都市の緊急事態宣言が2回目の延長になりました。
現段階では、東京オリンピックは開催の方向のようですが、
店舗ビジネスへのコロナの影響は、続きそうですね…。

DX化が進み、いろいろことが省かれることが良しとされるなかで、
今回は根本的なテーマを探ってみたいと思います。
テーマは「これからの時代、人手がかかる接客はそもそも必要かどうか」です。

私の仕事は、「店舗ビジネスの顧客育成」がメインテーマです。
その実現のために「どのように接客を改善していくのか?」を
教育・コンサルティングで伝えてきましたが、これまでそもそも「接客の存在に
意味があるのか」を、あまりお伝えする機会がなかったように思います。

そこで今回のコロナ禍です。
人との接触が限られるなかで、「本当に接客は必要なのか?」
「この際、接客をAIで代替できるなら無くしてしまってもいいのではないか?」
「接客人数が減れば、人件費分、商品を安く提供できる。それを望むお客様も
多いのでは?」
・・・という根本的な疑問を、皆さんもお持ちになっていませんか。
そんな疑問について、時代を遡って考えてみたいと思います。

「接客」は、30年周期で大きな節目がありました。
「1970年代~」スーパーマーケットが出現し、個人商店である魚屋さん、八百屋さん、肉屋さん、豆腐屋さん、乾物屋さんが減り、接客も少なくなりました。
「2000年代~(楽天の創業は1997年でした)」徐々にEC(ネット通販)化が進み、今回のコロナ禍で一気に急拡大しました。人との接触が制限され、接客は減り続けています。
「2030年代~」に無人店舗が本格化すると、さらに接客は減るでしょう。
ユニクロ等のファストファッション・コンビニエンスストア・ファーストフード・ファミリーレストラン・スーパーマーケットでは、接客は大きく減ると思います。
お客様は、その場所で接客の必要性を、あまり感じていないからです。
では、どんな接客がずっと残るのしょうか…。

そのヒントは、自分自身を見つめると分かると思います。
今、私達の消費活動は「できるだけ短い時間で、商品購入にあたっての
情報収集・購入判断・決済をすませたい=時短」の方向で進んでいます。
「お店に行かない」「レジで並びたくない」「店員さんから商品の説明を聞かないでレビューを見る」ことで、買い物をすますことが増えていませんか?
買い物にまつわる面倒な事をできる限り、なくしたいと考えています。
私自身もレビューを確認して、EC(ネット通販)で購入する商品が増えています。

そこで大きな疑問が出てくると思います。
面倒な事を削って生み出した時間を何に使うのか…。答えは1つだと思います。
「幸せを感じる時間を増やす」ことです。
2つの方向があるでしょう。

1つは『一人で幸せを感じる時間』を増やすこと。
例えば、「休息・睡眠に当てる」「テレビ・YouTube・Amazonプライム・Netflixなどで動画コンテンツを楽しむ」「面白い漫画・本を読む」「ネットサーフィン・ネットショッピングを楽しむ」「ゲームなど一人の趣味に使う」「愉しさを感じるセルフショップ(ドン・キホーテ、カルディコーヒー、イケア、コストコ、ヴィレッジヴァンガードなど)で買い物を楽しむ」時間を増やすことです。

もう1つは、『自分以外の誰かと接することで、幸せを感じる時間』を増やすこと。
「親子で食事をする」「友達と会う」「子供と遊ぶ」「同じ趣味の仲間と過ごす」時間、さらに「趣味の商品をお店に見に行って、永い付き合いの店員さんと話をしながら、気に入った商品を手に入れる」「美容室/床屋さんでリラックスした時間を過ごす」「サロンに行ってエステティシャンから心地よいサービスを受ける」「ステキなソムリエがいるフレンチレストランでワインを楽しむ」といった“店舗で人と接する幸せな時間”を増やすことです。

接客は、このような「店舗で人と接する幸せな時間」で大切な役割を果たします。
「人を幸せにする接客」は「ずっと残る接客」です。

「接客=販売」という考え方は、終焉に向かっているかもしれません。
「接客=販売」という考えで行われている接客を、多くの人は、必要としていないからです。
「接客業=人に幸せな時間を届ける仕事」であれば、未来永劫、接客は残り続けます。

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