顧客体験

Vol.49 セールなし、広島市のネット繁盛店の秘訣

セールなし
ネット繁盛店の秘訣

今回は、リアル店舗のファンづくりの参考になるネット通販の事例を紹介します。

広島市でセレクトショップ(1店舗)を運営するネット通販「ヒールアンドトゥ
マイプレシャス ページズ」が、セールを一切せずに、楽天で、10,000円以上の
洋服を当たり前に販売しています。
3月末発売の「ロールネックセーター」が、楽天市場の「レディスファッション ランキング」「トップス ランキング」「セーターラ ンキング」で、ジャンル別No.1を獲得しました。
特に意識されているのは、「実店舗で、当たり前にしていることを、ネット通販でも再現している」ことだそうです。

例えば、お客様から商品についてメールで問合せが来た時に、質問に対して端的に答えを返信するだけで終わりにせずに、春であれば、「そちらの桜の開花は、
どうですか?」と逆に質問を送り、返信があるとまた話をつないで、返信します。
「実店舗で何か質問されたら、雑談を交えて答えるのは、当たり前」という考えが根底にあります。

また、実店舗では「お客様を覚えて、過去に購入した商品を頭に入れておき、
それらを想い浮かべながら、接客をする」のが当たり前です。
そんな考えを原点にすると、ネット通販で「購入商品の使用状況・雑談も交えたお礼メール」や「過去の購入商品と今回購入した商品のコーディネート提案を含んだ商品同梱のメッセージカード」を実践するのは、当たり前だと考えているそうです。
お客様を大切にするちょっとしたことの積み重ねで、「自分の好きなお店」になり、「洋服を買うならこのお店」と考えるファンが生まれています。
(出典:日経MJ2022.06.24:一部SISにて編集)

ネット通販でもリアル店舗でも、一定の価格帯を維持するには、「圧倒的な商品力・ブランド力」がない場合、「ファンづくり」が大切なことは同じです。

通常、ネット通販のファンづくり(初回購入後のマーケティング)は、メルマガ・LINE・SNS投稿などの「1対多のデジタルマーケティング」を基本に、
カスタマイズというキーワードを具現化した「1対1のデジタルマーケティング」も進めています。
例えば、「ホームページの閲覧履歴に応じたメールフォロー/次回ホームページ訪問時のカスタマイズ表示」、「購入履歴に応じてカスタマイズされたメールマガジン/アプリ表示」などです。
マーケティング・オートメーション(MA)をはじめ、デジタルマーケティングを牽引するIT企業の努力で、ここ数年大きく前進したと思います。

ただ、今回の事例の素晴らしさは、ここではありません。
「1対1のデジタルマーケティング」の考え方を土台にしながら、「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届けている」ことに成功の秘訣があります。

先ほど紹介した、ホームページの閲覧履歴や購入履歴に応じたカスタマイズは、
「1対1のデジタルマーケティング」ですが、「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届けている」訳ではありません。
お客様のネット上の動きを数値(≒デジタル)で捉え直して、お客様を選定・分類して、カスタマイズされた表示やメールを送っています。
もちろん、それはマーケティング的に正しいことで、Amazon・ZOZOTOWNなどの大規模なネット通販の「1対1のデジタルマーケティング」の勘所だと思います。

一方で、リアル店舗でもネット通販でも、「人を中心としたファンづくり」では、「1対1のデジタルマーケティング」の勘所はどこにあるのでしょうか?
今回紹介させていただいたネット通販「ヒールアンドトゥ マイプレシャス ページズ」が行っているような「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届ける」ことです。
この活動は、ファンづくりに大きな効果があります。お客様が「スタッフさんが自分のことを想ってくれている」と感じるからです。
それがお客様からの好意に繋がり、ファンに近づいていきます。

具体的に、「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届ける」手段は、メール・LINEなどのメッセージアプリなどでしょう。
そして、手紙・DMのアナログツールよりも良いのですが、デジタルツールは、
返信が容易なので、双方向のコミュニケーションに繋がりやすいですね。

実務的に「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届ける」ことを
はじめるには、1日3分間あれば、進めることができます。
ある上位のお客様1名のCRMデータを見ながら、そのお客様に2分間、想いを馳せてみます。やってみると2分間は意外と長いです。
1分間メッセージを考えて、メール・LINEなどのメッセージアプリで送ります。
メッセージを受け取ったお客様に「自分のことを考えてくれているんだ」と
伝わればOKなので、メッセージは短くても大丈夫です。

20日勤務であれば、1ケ月で20名の上位のお客様に実施できます。
3ヵ月で60名です。3ヵ月終わったら、また同じお客様に戻って、3ヵ月間展開します。
3ヵ月に1回のお客様一人ひとりに向けたメッセージは、実施するスタッフも、受け取るお客様も、負担が少ないでしょう。

スタッフが5人いれば、5人×60名で上位300名のお客様に、3ヵ月に1回
「一人ひとりのお客様に想いを馳せて、メッセージを届ける」ことができます。
「人を中心としたファンづくり」、少しずつ進めていきましょう!

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