店舗の活動

Vol.38 顧客育成の勘所の変化

顧客育成の勘所の変化

前回、DX(デジタルトランスフォーメーション)のお話をしました。
「DXの推進には、その前提としてCX向上を考える」
「CXの向上/DXの推進は、顧客の感情をどれだけ動かすことができたかが大事」
「顧客の感情を動かす思考軸・活動軸は、“共感”“共振”“共有”」
それによって「ファン化(お客様育成)のプロセスが進む」とお伝えしました。

※前回の内容は、こちらをご覧ください。

では、どうして「共感・共振・共有によって顧客の感情を動かす」ことが、
コロナ禍で店舗ビジネスの経営の根幹になる「ファン化(お客様の育成)」に
繋がるのでしょうか。
成長時代、低成長時代、これからの時代の3つに分けて、「ファン化(お客様の育成)」の“勘所の変化”について、お話したいと思います。

成長時代の「ファン化(お客様の育成)」の勘所

成長時代、どんどんマーケットが大きくなる時代、「ファン化(お客様の育成)」は「基本(身だしなみ、元気な挨拶・笑顔など)を徹底する」ことが勘所でした。
基本ができていない個人店から、顧客を奪う事ができたからです。
お客様の失礼にならないように、と心掛ける時代でした。

今は「基本の徹底」をしても、商品・サービスに余程の特徴がなければ、
ファン化は進みません。
基本の徹底は大事なんですが、今でもあり続けている企業は、ある一定の基本はできています。
それだけでは、他社を上回ることができないからです。

低成長時代の「ファン化(お客様の育成)」の勘所

低成長時代に入り、売り手が増えてくる状況の中で、
「ファン化(お客様の育成)」は、「基本を徹底する」だけではなく、
「接客の一つひとつのプロセス(挨拶→アプローチ〈声がけ〉→ヒアリング
→商品紹介→クロージング→見送り→フォローなど)のテクニックを磨く事」
が勘所になっていきました。

今は、企業で働いている(いた)人が殆どなので、企業側の意図が見透かされてしまい、テクニックの効果が限定的になっています。
また、店舗に来店する前に、ネットである程度調べているので、プロセス通りの接客を望んでいないケースも増えています。
お客様が商品のことをネットで詳細に調べてきた場合、一般的な商品説明は、省いてもいいかもしれませんね。

これからの時代の「ファン化(お客様の育成)」の勘所

そんな状況がある中で、これからの時代の「ファン化(お客様の育成)」は、
「基本の徹底」「接客プロセス毎のテクニックを磨く事」に加えて、
「お客様の感情が動く場面を増やす事。その切り口としての“共感・共振・共有”」を勘所にすることで進みます。ここが前回お伝えした部分です。
企業と顧客の垣根が低くなり、企業と顧客が地域・社会の中で、溶け合っていく時代では、スタッフと顧客が“何か(場面によって変わります)を共に”感じて、ココロ(本音)が触れ合う、ココロが重なる場面を増やすことがポイントになるからです。

繰り返しになりますが、これからの時代も「基本の徹底」「接客プロセス毎のテクニックを磨く事」は大事ですが、それだけでは「ファン化(お客様の育成)」は、あまり進まないのです。

「基本の徹底=初級レベル」「接客プロセス毎のテクニックを磨く事=中級レベル」「お客様の感情が動く場面を増やす事。その切り口としての“共感・共振・共有”=上級レベル」と考えると、わかりやすいと思います。
これからの時代の「ファン化(お客様の育成)」は、上級レベルが求められています。

よくあるケースとして、初級・中級をクリアしている店舗にとって、「お客様の感情が動く場面を増やすこと…その切り口としての“共感・共振・共有”=上級レベル」が「ファン化(お客様の育成)」の改善点であるはずなのに、「基本の徹底=初級」「接客プロセス毎のテクニックを磨く事=中級」を改善点にしてしまうことが挙げられます。
すでに大方できているので、強化しても効果があがりません(もちろん、強化しないよりは、強化した方が良いのですが…)。

低成長時代では、「基本の徹底=基本レベル」「接客プロセス毎のテクニックを磨く事=応用レベル」として、2つの階段だったのですが、時代が進み、「お客様の感情が動く場面を増やす事。
切り口としての“共感・共振・共有”」が一番上に加わって、3つの階段になっているのですね。

「共感・共振・共有」は、コスパ・効率性を短い期間で追うスタイルの
セルフ店舗・ネット専業通販と相性が悪く、苦手です。
相手が苦手なところで、レベルアップに取り組んでいきましょう。

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