顧客戦略の仕組みづくり

Vol.13 10年顧客戦略の仕組み、その中身の網羅性

10年顧客戦略の仕組み、その中身の網羅性

顧客戦略が進む企業は「仕組みの中身に現場浸透に必要な分野が網羅的に入っている」、たどり着けない企業は「仕組みの中身が網羅的ではない」

前々回(Vol.11)は、「10年顧客の仕組みを時代に合わせて再構築する必要性」を、前回(Vol.12)は「仕組みを創る目的の明確化」についてお届けしました。今回(vol.13)は、仕組みの再構築にあたって大事な「仕組みの中身、その網羅性」についてお話します。

なぜ網羅性が大事なのか?

なぜ仕組みの中身が網羅的でなければならないかいうと、ある分野がうまく機能していても、他の分野が抜けて落ちていると、そこから綻びが生まれます。その綻びの影響で、全体の仕組みがうまく廻らなくなるからです。
例えば、顧客戦略の現場浸透を接客や売場の活動だけで進めると、短期的な成果が出ても、その結果どんなお店になれるのか、未来像が明らかになっていないので、活動が長続きしません。結果として顧客の数が安定して増え続けません。

例えば、顧客戦略の現場浸透を「店長への教育」を中心に進めているとします。その場合「教育に参加していない現場スタッフ」に対して、E-ラーニング・DVD等の教育の手段が抜け落ちていると、いくら店長が顧客戦略に熱心に取り組んでくれていても、顧客戦略の現場浸透の仕組みとしては、うまく廻っていきません…。顧客の数が安定して増え続けません。

1つの国家を考えてみると…

「仕組みの網羅性」について理解を深めていただくために、すこしお話が大きくなりますが、1つの国家を考えてみましょう。

国家には、国民の生活を守る、国民を豊かにする、国家を繁栄させるという目的があります。その目的を達成するために、税金を集めて分配する、外国と貿易をする、医療を提供する、治安を守る、資金を循環させる、外国に行った自国民を守る、法を制定してそれを守らせる、災害(地震・火事等)から国民を守る、未成年の教育を行う等、国の仕組みは実に網羅的です。

それを財務省、経済産業省、厚生労働省、総務省、警察庁、金融庁、外務省、防衛省、文部科学省、法務省、消防庁等、さまざまな省庁でその役割を担っています。

これらのどれかが、もし存在しなかったとしたら、その部分から国民生活が脅かされることになります。

どの分野も国民の生活を守る、国民を豊かにする、国家を繁栄させるために、外せない分野です。目的実現のためにある仕組みに網羅性は不可欠です。

顧客戦略の仕組み再構築に必要な分野は…

本題に戻りますね。

では、顧客戦略の仕組み再構築には、どんな分野が必要なのでしょうか。「顧客戦略の仕組み=半年・1年・3年・5年・10年にわたってお客様にずっと通い続けてもらい、お客様の数を安定的に増やす仕組み・基盤」に関わること全てが対象分野になります。以下、10つの分野が対象になります。

顧客戦略の仕組み、その対象分野

  1. 未来像
  2. 活動(接客・売場・ツール・販促イベント)の見える化・マニュアル化
  3. 教育・研修・E-ラーニング
  4. 現場PDCA・チームワーク・コミュニケーション
  5. 成功ノウハウの共有・コンテンツ化
  6. 現場支援ツール(顧客データベース・ツール)の充実
  7. スタッフ成長の仕組み・人事評価
  8. 顧客視点の目標管理
  9. 活動指針・現場文化の醸成
  10. 競合店・消費者のリサーチ

まとめ

経営者(事業責任者)は、顧客戦略の仕組みを再構築するにあたって、そのために必要な分野をすべて含めて考える、網羅性が大事です。必要な分野を外して考えるとその部分から仕組みが崩れていきます。顧客戦略の仕組みは、ガラス細工のように繊細なものです。

前々回(vol.11)前回(vol.12)今回(vol.13)と3回に渡って、顧客戦略の仕組みづくりをテーマにお届けしました。多くの企業では、時代に合わせて仕組みの再構築が必要なことは分かっていても、取り組みが十分ではないことが多いのが現実です。

経営者(事業責任者)の役割には、日々さまざまな問題への対処があると思いますが、vol.11・12・13の3つのコラムを参考に、仕組み再構築を進めていただければと思います。それは経営者(事業責任者)しかできない役割だからです。

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