特集記事

OffからOnへ、顧客接点のアイデア創出エピソード

OffからOnへ、顧客接点のアイデア創出エピソード

 顧客戦略を進める中で、さまざまなハードルが出てきて、それを潜り抜けるために、いろいろな現場のアイデアが必要になります。そのアイデアをどこから出てくるのか、いろいろな切り口がありますが、やはり自分自身の体験から出てくるアイデアが一番強いのではと考えています。
 今回の特集記事では、私(齋藤孝太)自身の体験から、顧客戦略を進める上での10個のエピソードをお伝えします。気楽に読んでくださいね(笑)。


1.気遣いを受けても、また買おうとは思わない?!
 気遣いの量の心理

 出張で東京から福岡に飛行機で行ったのですが、乗ろうとした時に、電光掲示板にプラス8000円でファーストクラスに変えられるということで、体験してみました。スペース・シートが広いのはもちろんなのですが、サービス内容もエコノミーとかなり違いました。
 以下、受けたサービスの順番に10個、紹介しますね。
          ↓
・キャビンアテンドの方が自己紹介してくれます。
・スーツがしわにならないように、預かってくれます。
・新聞をすすめてくれて、選んだ新聞がもらえます。
・腰にあてるテンピュールを貸してくれます。
・離陸すると布のおしぼりが出てきます。回収してくれます。
・和の朝食がでてきます。
・お茶を急須で入れてくれます。
・食後のコーヒーがでます。高級らしく、産地を説明してくれます。本当においしかったです。
・本格的なイヤホンなので、音が良かったです。
・最後に「これからお仕事ですか?」とキャビンアテンドから
話かけてくれます。

 国内線は、エコノミーとファーストクラスで、3割ほど料金が違うのですが、それ以上、私の満足度が高かったです。エコノミーでは、キャビンアテンドの方は自己紹介してくれません、スーツを預かってくれません、お茶を急須で入れてくれませんよね(やっていたら大変なことになってしまいます…笑)。
 気遣いの量がとにかく多かったです。ただ気遣いを受けたのではなく、気遣いの量が多かったことが、私の満足に繋がっていました。また、ファーストクラスに乗ってみたいと思いました。

気遣いを“いくつ”届けているのかが大事

 お客様は気遣いをもらうと嬉しいと感じます。ただ、同業の会社・お店でも気遣いを受けている訳で、気遣いを受けたからといって、次回も来店してくれるとは限りませんよね。
皆さんも、そうですよね。例えば、あるレストランに行って気遣いを受けたからと行って、次回も行こうとは思わないですよね。他のレストランと比べて多かったら行くかも知れません。
 つい実施する側は、気遣いをお届けした事実を大事にしますが、お客様は気遣いの量を大事にしています。気遣いの量を大事に実践していけば、お客様の満足度が競合より上回り、継続来店に繋がり、固定客になっていただけます。気遣いの量と売上は比例関係にあります。

リッツカールトンホテルも、気遣いの量が多い

 リピーターの高さが有名なリッツカールトンホテルに泊まると、気遣いをたくさんもらえます。
 他のホテルに比べて、スタッフのフレンドリーな会話、チェックアウト時のプラス一言、ルームサービスの何げない一言、ズボンプレッサーを借りた時の設置位置(コンセントに差し込んだ状態で部屋の中に置いてくれます)等々…。
 感動的な物語が紹介されることが多いリッツカールトンホテルですが、気遣いの量が他の高級ホテルよりも多いからリピーターが多いのでしょう。

2.ここまでしているのに…でも当たり前じゃない?
 当たり前レベル、アップの心理

 スポーツ観戦が趣味なので、オリンピック期間中は、中継をBGMにしながら、仕事をしていました。体操、シンクロ、新体操、飛び込み、サッカーまで、その時々の中継を見ていました。
 解説に耳を傾けていると、年々レベルアップをしている選手・チーム、そうではない選手・チーム、それがメダルを取れるかどうかの決め手になっているようです。

 ビジネスにおいても、うまくいっている会社と、そうでない会社の違いは、オリンピックと同じように、「年々レベルアップできているか」が分かれ目になっています。

アクション一つひとつのレベルが年々アップしている現実

 例えば、お店からダイレクトメールがよく送られてきますが、知っているお店から送られてきたとしても、中々開かないこと、ありませんか。自分に向けた手書きコメントが書かれたダイレクトメールだったら、どうでしょうか?開ける可能性が高くなりますね。
 カード会社、モバイル通信の会社から携帯電話に営業の電話がかかってくることがありますが、必ず「今、“お時間3~4分”大丈夫ですか?」といった形で、時間の確認をするのが当たり前になっています。ちょっと前は「今、大丈夫ですか?」だけでした。ずっと前は、営業トークからはじまっていました。

いくらレベルアップしても慣れてしまうお客様

 脳内の快楽物質をドーパミンと言いますが、同じことが繰り返させるとどうしても少なくなってしまいます。脳は好奇心が多いので、いつも新しい刺激がないと飽きてしまうのですね。
 ということは、最初はあるサービスがレベルアップしてとても満足していくたお客様でも、時が経つと当たり前になっていきます。同業種でやっていなかったサービスも、他社にマネされれば、お客様から見ると当たり前になってしまいます。お客様の脳内のドーパミンがあまり出なくなります。

売上を上げ続ける会社の考え方

 売上が上げ続ける会社は「今、○○をしてお客様は満足しているけど、どうしたらもっと満足してくれるかな?」と、常にレベルアップする思考を持つ会社です。一方で、伸びない会社は「○○をやっているから、大丈夫!」という思考を持つ会社です。常にレベルアップする思考を持って、アクションのレベルを日々、年々、アップしていくことが大切です。

自分の会社が年々レベルアップしているか確かめてみる

 自分の会社がお客様にお届けしているアクションを、5年前、3年前、1年前と比べて、どこがレベルアップしたのか、確かめてみましょう。
実は、人や組織が変わっているだけで、お客様にお届けしているアクションレベルがあまり変わっていない会社が多いのです。お客様から見ると、同じ場所で足踏みしていると思われています。当然、売上も上がりません。

3.お客様は理性でモノを買っていない?!
 右脳(イメージ)&左脳(理性)、双方理解の心理

 体重がずっと増え続けていました。高校の時は、63㎏くらいだったのに、大学の時は70㎏を超え、仕事をはじめた頃には73㎏に到達!それから15年かけてジリジリと増えていき、ついに78㎏になっていました。一時的に80㎏を超えたことも…。ここまで来ると、さすがに考えますね。私がしている講師の仕事は、ふくよかすぎると説得力がなくなっていきます。

 そこで、ささやかながら3ヵ月のダイエットに取り組んでみました。その結果、体重が78㎏から73㎏に減りました。なんとか、就職した時の体重まで、15年ぶりに戻りました。いやー嬉しいですね!

 体重が減った理由は、食べる量を3ヵ月間続けて減らしたことです。運動は殆どせず、食べる内容も気にしませんでした。朝食はヨーグルト、昼食を腹5分目くらい、夕食は気にせず食べます。これは今までもやったことがあるのですが、続かなかったのでダイエットに失敗していました。今回は、その食生活を3ヵ月続けることができたのが、成果が出た原因でした。

どうして3ヵ月間、ダイエットを続けることができたのか?

 体重を毎朝、必ず測るようにして、それをグラフにして見える化したのです。一見、面倒に思えるかも知れませんが、最近は機能が充実した体重計があって、体重を測ると自動的に、スマホにデータが転送されて、ダウンロードしたアプリでグラフ化してくれるのです。
 仕事上、体重を減らしたいという左脳・理性の世界だけではなく、右脳・イメージの世界でも、体重を意識できたことが成功の要因でした。

右脳に訴求するアクションを増やして売上を上げる

 私達が最も長い時間を過ごす会社は、左脳・理性の世界を中心に物事が動いています。自然とお客様にとって大切な右脳・イメージの世界を見落としがちになります。
 お客様のイメージに訴求する右脳系アクションを今よりも増やす、完成度を高めることで、お客様に伝えている情報の理解度が深まって、売上に繋がります。

右脳系アクションの具体例

・口頭で説明していたことを図解で説明する
・文字で説明していたことを数値化・グラフ化する
・売場にミニ生花を配置する
・コーヒーを出す時に紙コップから陶器に変える
・アンケート記入の時のボールペンを万年筆に変える
上記にあげたアクションは、左脳・理性の世界ではあまり意味がありませんが、お客様の理解・気持ちに大きな影響があることが分かると思います。右脳・イメージの奥深さを感じますね。

メラビアンの法則

 人に与える印象についての研究を行っているアメリカの心理学者アルバート・メラビアン博士によれば、人間の第一印象は7秒以内に決まり、その影響は、視覚情報(見た目・表情・しぐさなど)が55%、聴覚情報(声の抑揚・トーンなど)が38%、言語情報(言葉そのもの)はわずか7%でしかないそうです。右脳・イメージの強力さを物語る調査結果ですね。


4.お客様の幸せまで考えたら、越権行為?
 達成感、プチ幸せの心理

 地下鉄に乗っていると、携帯ゲームをしている人をよく見かけます。サラリーマンから学生までみんなですね。
 私自身は、小学校の頃にファミコンをやっていたくらいで、今ゲームをしていないので、何で大人になってからもゲームをやっているんだろう?と思っていました。

どうしてゲームは楽しいと感じるのか?

 ゲームをする意味、それは達成感を感じるためではないでしょうか?クリアするとちょっと嬉しくて達成感を感じますよね。そんな想いを持ちながら、ひさしぶりにゲームセンターで遊んだのですが、「ん?あれ、楽しいじゃん!」と思いました。達成感、感じちゃいました。

 まだ大学生の時「ビジネスマンの父から息子への30通の手紙」という本を読みました。その中で「人が感じる一番の幸せは達成感である」とのくだりがあったのを、今でも覚えています。

お客様に達成感、プチ幸せを届けて売上を上げる

 お客様に達成感をお届けしてプチ幸せになってもらいましょう。お客様は、幸せな気分になれる達成感を届けてくれる会社・お店とは、ずっとお付き合いしたいと感じてくれるからです。継続的な売上に繋がります。

「達成感、プチ幸せを届ける」具体策

 具体的には、以下3つの切り口でお届けすることが考えられるでしょう。
・テストに合格して達成感をお届けする企画
(化粧品業界)「アラフォーのメイクテクニック、3級テスト」
(ワインバー)「なんちゃってソムリエ、テスト」
(お蕎麦屋さん)「そば打ち、おいしさテスト」

・目標を実現して達成感をお届けする企画
(スポーツクラブ)「1週間10km!ルームランナーに挑戦」
(書店)「秋の夜長に、1ヶ月7冊読破!に挑戦(1言感想文を提出)」
(エステ業界)「この春の目標、ウエスト5cmダウン!」

・教室参加の皆勤賞で達成感をお届けする企画
(スーツ業界)「スーツ着こなし術、教室」(年間4回)
(和食店)「野菜を使った家庭料理教室」(年間4回)

達成感は継続に繋がる

 仕事のモチベーションを継続的に維持するために、達成感が大事なことはよく言われていることですが、お客様に継続的にファンで居続けてもらうために、達成感をお届けするのもあり!ですね。

5.お客様には、遠いこと、大きなことは響ない?!
 身近な事実の心理

 Facebookをやるようになって、7~8年が経ちました。ちょっとハマっています。自分が毎日、Facebookをチェックするとは思わなかったです…。仕事がけっこう忙しい時でも見てしまいます。最初は、実名を出して、プライベート的なことを公開していくことに抵抗があって、恐る恐るやっていたのですが、そんな必要はなかったですね。とても楽しいです。いつも、寝る前に寝床で、モバイルで見ています。

 どうしてFacebookを楽しいと感じるのかというと、友人の日常を垣間みることができるからです。自分と近い、知っている人の身近な事実を眺めることが楽しいのです。リラックスできます。ネットでニュースを見るのもいいのですが、友人の身近な事実の方が、楽しいと感じている自分がいます。実際、Facebook利用者の閲覧時間の7割は、友人の近況を見ることに費やされています。

お店でも身近な事実の反応がいい、売上に繋がる

 例えば、皆さんがお客様の立場でお店の売場に立っていたとして、「日本で流行っていること、全国で〇〇万部売れた、本部スタッフのおすすめといった少し遠い事実」と、「お店のランキング、お店の販売数、お店スタッフのおすすめといった身近な事実」、どちらの方が心に届きますか?
 最近は、遠い事実よりも身近な事実の方が、反応が良いです。売る側からすると、身近な事実は普段から接している事実なので、軽視してしまうことが多いのですが、お客様から見たら、その方が関心が高いことが多いです。お客様の関心が高いということは、興味を持ってもらえることなので、話をよく聞いてくれます。そうなれば、売上に繋がりやすくなります。
 口コミは「友人が買ってよかったと言っていた」という身近な事実ですね。口コミは昔から売上をボディーブローのように支えてくれるものですね。

「私、ハマってます!POP」で、売上アップ

 化粧品業界のお店を対象にした研修で、スタッフ自身が今使っている化粧品に「私、ハマってます!POP」を設置してもらったのですが、多くのお店でその商品の売上が上がりました。
 バイク業界のお店を対象にした研修で、試乗車にスタッフ自身が試乗した感想を書いたPOPを設置した所、お客様がそのPOPを見てくれたそうです。
 身近な事実の鉄板は、現場で売っている本人が「好きな商品」「使っている機能」「使った感想」です。目の前の人(スタッフ)に起こっていることは、お客様からみたら身近な事実です。専門家、有名人が感じた事実もいいのですが、遠い事実ですね。

東日本大震災の影響もあるかも…。

 東日本大震災は「いつ死が訪れるのか分からない、生きることは、身近な事実を積み重ねて、その中で自分のハッピーを見つけていくこと」そんな当たり前の真実をあらためて感じた出来事でした。身近な事実の大切さを今、私も含めて多くの日本人が感じているのではないでしょうか。

6.きちっとして真面目、でも面白くない?!
 お笑いリラックスの心理

 3年くらい前、東京駅にあるレストランに行ったときの話なのですが、そのお店には、イタリア人のホールスタッフがいて、お客様の年齢・性別に関わらず、楽しそうに話しかけていました。お客様も楽しいそうでした。
 私のテーブルでも、お皿が足りなくなったので頼んだ所、「今、お皿が歩いてこっちに向っていますので、もう少々お待ちください。」と笑いを交えながら話かけてくれます。とても楽しい気分になりました。

 それに比べると、普通のレストランのスタッフは、少し物足りない感じがします。礼儀正しいし、キチッとしていますが、そつなくこなすイメージなのです。もちろん、「お客様の居心地が良いように」というのは分かるのですが…、お客様からクレームがあることはありませんが、お客様が笑顔になることは少なそうですね。

笑いの効果

 医学的に笑いには、自律神経の頻繁な切り替えを起こしてくれるとのこと。「怒りや恐怖を感じたときなどの異常な事態の時に多くなる交感神経」よりも「安らぎ・安心を感じた状態のときに多くなる副交感神経」が勝る状態にあるのが笑っている場面なのです。
 つまり、笑いあふれる東京駅のあるレストランは、安らぎ・安心を感じる、心をリラックスさせる空間になっているのでしょう。

お笑い芸人さんがTV番組にたくさん出ている訳

 暗いニュースを受け取ることが多い最近の日本では、以前よりも笑いが求められる現状があります。
 最近のTVを見ていると、お笑い番組だけではなく、情報番組、スポーツ番組、ニュース番組にもお笑い芸人さんが出ています。その方が視聴率が取れるからですが、なぜ視聴率が取れるかと言うと、笑いが視聴者(お客様)に求められているからでしょう。

お笑いがビジネスで大事になれない理由。

 先日、ある先輩と夕食をご一緒したのですが、ニュージーランドにお正月旅行に行かれたということで、ホテル・お店で受けた接客についてお話しを聞きました。とてもフレンドリーで、楽しいコミュニケーションを取ってくれたそうです。
 日本はおもてなしの国として認識されていますが、「お客様は神様です」という考え方(商品・サービスを提供する側が“下”で、買う方が“上”という考え方)が障害になって、笑いを入れることに、ためらいがあるのでしょう。
笑いを入れることで、万が一にお客様に不快感を与えることがあるかも知れませんが、それによって喜んでくれる人の方が断然多いでしょう。

笑いが売上に繋がる

 エンターテイメントビジネス以外の通常のビジネスでも、笑いの要素を入れることで、お客様がいる空間が楽しくなります。楽しくなれば、自然と財布の紐が緩くなります。売上を上げるために、笑いについて真剣に考える必要があります。顔をしかめていても、売上は上がりません。

7.社員は長期プランに共感して安心したい…
 長期プラン、共感枯渇の心理

 先日、東京原宿の明治神宮に行ってきました。毎年の300万人の初詣客が来る神社ですね。日本で一番だそうです。その外苑には、樹齢100年以上の樹木が沢山ありました。樹木の並び方が、とても自然でありながら、美しい…。

 よく調べてみると、どんな種類の木を植えたら、100年後立派な森に育つのか、自然な状態になるのか、当時の学者達が100年計画を立てたそうです。大正4年から、民間の寄付と全国1万3000人のボランティアによって、植林されて今に至っています。
 この話を調べていて、サッカーのJリーグも100年構想を持っていることを思い出しました。100年、すごい発想ですね。

どうして、すごいと感じたのか?

 計画を立てた人が、計画を終えた100年後には、この世にいないからです。自分が死んだ後の未来に想いを馳せて、計画を立てる、その発想は、自分が今いるマーケティング業界ではあまり見られないからです。100年計画、素晴らしい発想ですね。尊敬の気持ちを持ちました。

「10年後」の長期プランを考える

 ビジネスの世界では、戦略レベルの視点において、長期5年、中期3年、短期1年、もしくは長期3年、中期1年、短期半年くらいが多いと思います。
100年まではいかなくても、今の企業/お店も、10年の時間軸で考えることが大事だと思います。今の管理職は10年後は定年を迎えていますが、そのくらいの時間軸に想いを馳せることが大事です。自分が会社からいなくなった後も、会社は続いていくことを認識して欲しいからです。

未来が見えない今だからこそ、長期プランが必要

 こういうお話をすると、こんな未来が見えない時に、10年計画を立てても意味がないという意見がありますが、それは違うでしょう。世の中全体が明るい未来に向かっている時代では、なくてもよかったのですが、未来が不明確な今の時代では、長期プランがないと社員・スタッフが将来に不安を抱えてしまいます。
 あるリサーチによると、先進国の中で日本が一番「不安を抱えている人の割合が高かったそうです。約90%の人が不安を抱えていました。

なんとなく不安だと、短期の売上にも影響する

 不安というものは恐ろしいもので、毎日のアクションにも影響します。お客様に向けた、ちょっとした丁寧さがなくなってしまうのです。長期プランがない、社員が共感していない長期プランは、短期においても、売上ダウンをもたらす原因になります。
 社員が共感できる長期プランを作って、落ち着いて毎日の仕事を丁寧に進めることで、地に足が付いた成長を手に入れましょう。

8.人と人の気持ちが重なると、パワーが生まれる!
 心が重なるパワーの心理

 最近、仕事をする中でよく思い出す言葉があります。
 「ONE FOR ALL ALL FOR ONE
 (一人はみんなのために、みんなは一人のために)」。

 私と同年代(30代後半~40代前半)の男性は、分かると思うのですが、約30年前のTVドラマ「スクール☆ウォーズ(ラグビーのスポ根ドラマ:山下真司主演)」に、出てくる言葉です。ラグビーの世界で、よく語られる言葉だそうです。
 このドラマは、京都市の伏見工業ラグビー部をモデルに、全国優勝を果たすまでの軌跡をドラマにしたものです。大きいレンタルビデオショップにいくと、今も置いてあります。

 ONE FOR ALL ALL FOR ONE、実はあるショッピングセンターで年間研修を実施してから、この言葉をよく思い出すようになりました。この研修は、100名近い店長さんに、アクション計画を立てて、実践してもらい、振り返るセミナーだったのですが、成果に繋がったお店と今ひとつだったお店の店長の感想が、ある1つの事実に集約されていたのです。
 その事実とは、決めたアクションをチームワーク良く取り組めたお店は成果に繋がり、チームワークがうまくいかなかったお店は成果に繋がらなかったことでした。現場の店長さんが考えたアクションは殆どお客様から評価されます。アクションの計画には、問題がなかったのですね。

チームワークの良し悪しは、人の気持ちの距離の問題

 では、チームワークが良いとは、どんな状態なのでしょうか?
 チーム一人ひとりの気持ちが重なる部分が大きい状態です。一方で、チームワークが悪い状態とは、気持ちが重なる部分が少ない状態です。気持ちが離れている状態です。

気持ちが重なる部分が増えると、今まで以上のパワーを出す

 自分以外の他人と気持ちが重なる部分が増えると、人は今よりも前向きになります。なぜなら、みんな(チーム)のために貢献したい、一緒に成果を出したい、自分が何のためにアクションを実施するのか納得しているからです。
人はこの状態に入ると、元々やる気にあるスタッフに加えて、普通のモチベーションのスタッフまで今まで以上のパワーを発揮します。それによって、お客様へのアクションのレベル・量がアップします。自然と売上に繋がります。

チームワークを高くする理由

 チームワークを良くするということは、「自分以外の他人と気持ちが重なる部分が増えると、人は今よりも前向きなる。パワーアップする」という「心が重なるパワー」を利用して、目的達成に効率よく向かう方法と考えることができます。
 チームワークというと、リーダーシップのあり方(ボトムアップ・トップダウン)といった手段論に議論が行ってしまい、一人ひとりの気持ち部分から離れてしまうことがあるので、注意が必要です。

9.「○○さんが必要だから…」と伝えたことある?
 存在の必要性の心理

 4年ほど前なのですが、ファミリーレストランの対面に座っている二人の会話が聞こえてきました。どうやら、スーパーバイザー(数店舗を管理している営業担当)と女性の店長さんが、来月のお店の活動についてお話をしているようでした。
 スーパーバイザーが女性店長に伝えていたことは「○○さん(店長)は、このお店にとって必要な人だから…」という言葉でした。途中から、その店長の目がウルウルしていました。

 その時、もし、自分がそんな言葉を掛けられたら、嬉しいだろうな〜、羨ましいな~と思いました。どうしてそう思ったのか考えてみると、自分が「今よりも必要とされたい…」と思っていたからです。それを伝えて欲しいと思っていたからでしょう。

 普通に仕事をしていて、「あなたのことが必要だ」と伝えてもらえる場面って、どれほどあるでしょうか?必要だと思われていても、それをダイレクトに伝えてもらうことは、少ないですよね。

上下関係で大切な必要なことを伝えること

 会社の世界は、経営陣⇔本部スタッフ、本部スタッフ⇔マネージャー、マネージャー⇔現場スタッフ等、様々な場面で、上の立場と下の立場の人のコミュニケーションがあります。
 「人は誰でも必要とされたい・・・」と強く思っている、この事実を
上の立場の人が意識して、下の立場の人とコミュニケーションを取ることで、関係が深まります。
 カーネギー「人を動かす」の本に、自己重要感という内容があって、「人は自分が重要であると思いたいので、それを丁寧に伝えることが、人を動かす時に大事になる」と書いてあったのを思い出しました。

自分は必要とされているという関係が、売上に繋がる

 上司から部下に、店長からスタッフに、「あなたの力が必要である」ことを丁寧に伝えて、それを理解してもらえれば、今よりも部下・スタッフはお客様に向うことができます。売上アップに繋がります。
 逆に、自分が必要とされていないのでは…と部下・スタッフに思われてしまうと、お客様に100%向かうことができないので、売上はアップしません。

1対1の個人面談で、伝えるのが大事

 コミュニケーションには、ミーティングのような1対多と、個人面談のような1対1があります。「あなたの力が必要である」ことを伝える時は、1対1のコミュニケーションの方が合っています。
 頻度は、2週間に1回、1ヶ月に1回、時間は10分でも20分でもいいので、定期的に1対1のコミュニケーションをとって、いつも「あなたの力が必要である」ことを伝えましょう。

 ミーティングだけでは難しいです。ミーティングでスタッフ全員に「あなた達はみんな必要である」ことを伝えていても、形式的なものだと思って、理解してくれないのが普通だからです。

10.SNSにアップするネタがなくて困っている?!
 ソーシャルメディア“ネタ”、お届けの法則

 東京ミッドタウンの周年記念イベントに行ってきました。アニバーサリーパーティーという招待状が手元に届いたので、ちょっとシークレット的なのかなと思って行ったのですが、お客様でいっぱいいっぱいでした。入場するだけで30分待ち…全員に招待状が届いていたのですね(笑)。実際は、周年記念セール的だったのです。 
 ダイレクトにそう伝えられていたら、行かなかったです。「〇〇パーティー&招待状」作戦で、私の心が動いたのですね。なぜ心が動いたかというと、いい商品があったらいいな~という気持ちと、フェイスブックにアップするネタになりそうだな~と思ったからです。

 多くのお客様が、ファイスブック・ブログ・ツイッター・ミクシ―等のソーシャルメディアに情報・写真をアップする時代になりました。こういった時代の流れも、今回のパーティーの集客を大きく後押ししたと思います。ケータイで写真を撮っている姿、ソーシャルメディアにアップしている姿を見ました。

 ちょっと前まで普通の人は、ソーシャルメディアを見る側として利用していたと思うのですが、自分が情報を発信して友人に共感してもらう(フェイスブックのいいねボタン、ツイッターのリツイート等)文化も広がっていますね。

ソーシャルメディアの新しいネタを探している?

 そうなると出てくる悩み?、悩みというとオーバーですが、ソーシャルメディアのネタがあまりないという悩み、いつも同じようなネタ(風景ネタ・食べ物ネタ・子供ネタ)になってしまう悩みを持っています。アップしないと「いいね!」がもらえません…、同じようなネタだとあまり「いいね!」ボタンがもらません…。やっぱり少ないよりは多い方がいいですよね。私もフェイスブックをやっているので、その気持ちを持っています。反響があると嬉しいですよね。
 ソーシャルメディアをしているお客様は、新しいネタを生活の中で常に探しています。無意識に探しています。

ネタ消費&ネタアクション

 ネタ消費という言葉、ご存知だと思います。「ネタ消費=ソーシャルメディアで、友人からの共感を得たり、自分をアピールする目的でネットでちょっとした話題になりそうな消費をすること」です。シンプルに言うと、ソーシャルメディアにアップできるお買い物をすることです。野村総合研究所によるとネタ消費の経済効果は3400億円と試算しています。
 今回、私が周年記念イベントに行った事実は、ネタアクションというべきものだったのでしょう。ソーシャルメディアのネタになるかな?と思って行ったからです。

ネタ消費&ネタアクションをお届けして売上アップ

 既存のお客様に、ソーシャルメディアのネタ消費&ネタアクションをお届けする意図を持って、アクションすることで、お客様の新しい行動を促し、売上アップに繋げましょう。
 それがソーシャルメディアを通じて情報が広がり、新しいお客様(既存客の友人等)の獲得に繋がれば、さらに素晴らしいですね。


いかがでしたか。自分の身に周りから、顧客戦略がよりスムーズに進むアイデアをキャッチするヒントになればと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

顧客戦略を現場に定着させるために

定期的にセミナーを開催しています。顧客戦略を御社に定着させるための基本的な考え方をお伝えしています。お気軽にご参加ください。

さまざまなコンサルティング・研修・講演の事例があります。SISのサービスについて、詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。